狭水路・道の通航


 瀬戸内の狭水道図 


ヨットと狭水道

音戸の瀬戸

鼻栗瀬戸

下津井瀬戸と水島航路の横断

関門海峡と進路警戒船

来島海峡

大畠瀬戸

下蒲刈

小鳴門










  音戸の瀬戸

音戸の瀬戸を上から見る


 マリ-ナ探しで広島へ行くのに、最初は音戸の瀬戸の通航を断念、三原の海の駅でヨットを係留して、JRで行きました。 その後3回ここを通狭したので、少ない経験ですがご参考までに書いています。

 基本の法的な航法は右側通行です。音戸の瀬戸北口浮標と南口浮標の間は右側を航行すればよいでしょう。詳しくは下記をご覧ください。





 ヨットのような4-6ノットくらいしか速度がでない遅い船は潮流の時間が大切になります。 潮の滞留時をねらったつもりでも2-3ノットしかでない経験もしました。 呉港の低潮時と高潮時から1.5-2時間後が潮の止まる時間です。その時間に通航を考えます。 下記サイトに詳しい説明があります。

 瀬戸内海・豊後水道の潮流推算
 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN6/index.html

 http://www.mirc.jha.or.jp/online/w/w-tcp/


 また、難しい問題は狭いところでの追い越される問題です。実際に前に気をとられていて、気が付くのに遅れて、松山-呉のフェリ-に追い越し信号で注意喚起されて追い越されました。確かに遅いヨットに合わせて速度を落として航行するのは大きい船にとっては危険で無理があります。

 南側から通航する際には、瀬戸の入り口は屈曲しているので、南側浮標近くまで行かなければ見通しが効かずに中の様子は確認できません。後で知りましたが、海峡カメラがネットで見られます。ヨットはなるべく船のいないときに通行したいものです。
 

南側から航行する際にはこの黄色のクレ-ンが目印になります。

 




   手前が南側の橋で奥が北側の橋

  2016-10-31

 

 

   鼻栗瀬戸



 瀬戸内海を東西に航行する場合に、大型商船は主に来島海峡を、数たまに三原瀬戸を通峡する。ヨットの場合は上図で赤字で表したように、4航路がある。

1.三原の瀬戸 潮の影響が少ないが距離が長くなる
2.鼻栗瀬戸  500トン位までの小型船舶
3.船折れの瀬戸 急潮であるので100トン位が航行
4.来島海峡  大型船が順中逆西により航路規則がある。

 今度の年末クル-ズで鼻栗瀬戸を往復しました。幸い最狭部で行会い船に合うこともなく、無事通峡できました。どちらも2ノット位の追い潮をねらって通航する。帰りの弓削から御手洗に向けて通峡したときは、冬の季節風の強い日で、通過すると海面が真っ白の向かい風になりました。通常なら機帆走でも2ノット程度に下がり、引き返す判断になりそうな状況でした。連れ潮で4ノット程度GPSが示していたので続行、30分くらい頑張ると少し収まり、予定より少し遅れる程度で目的地に到着できました。 真向かいの風でのヨット航行で自分にとっては貴重な体験となりました。さすが瀬戸内の潮流です。

 

鼻栗瀬戸


手前の大三島にある 潮待に使えそうなポンツ-ン


 いつも潮流推算を使用して潮流時をサイトで調べますが、ここ鼻栗瀬戸は、それでははっきりしないので
MIRCマリン情報の潮流予測を見ました。

 4つの瀬戸を航行しましたが、ここはオススメです。

  

           2017-12-28


 

 

     来島海峡

 





本船乗りでしたが、瀬戸内の航行上での問題地は、関門海峡とこの来島海峡です。実際に在籍した船会社の6000トンの船が、退職後ですが、来島海峡で衝突して沈没しました。気をつけねばなりません。下記は来島海峡のポ-タルサイトで現在の視程や設置された航路標識一覧表、緊急情報などご覧になれます。
http://www6.kaiho.mlit.go.jp/kurushima/

 現在のボ-トは20-30ノットで走行できますので、本船の来島海峡の航法に従い西水道や中水道を通行することは可能です。 ここではヨットで4-5ノットの速さで航行するケ-スを述べます。

本船の航法
 順中逆西の航法といい、北流(南風)は中水道を航行、南流(北風)に西水道を航行。 船は元来右側通航が基本です。一般的な狭水路そのようになっています。だが例外的に南流時には左側通行になります。この航法の趣旨は西水道が屈曲しているので、逆潮で舵が効きやすいのでそこを航行させようというものでしょう。潮流の現況は信号所にSとかNとか電光表示されます。


  

  ヨットの来島航法


 大きいときには10ノットの潮流がある来島では転流時の潮どまりのときに通狭することになります。潮汐表ないしサイトでその時間を確認しておきます。

 今回今治海の駅に停泊して、そこから来島海峡までは4マイルの距離ゆえに、転流時の1時間前に出港して来島にむかう。潮流信号所の電工表示で潮流を確認しながら、西水道にかかる四国側に一番近い橋を通過。ポ-ト・左に転針して小島と来島の間の水路を航行して抜ける、このように航行しました。上蒲刈島にある広島県民の浜にある海の駅でその日は停泊しました。
 ヨットでは本船の使う水道は避けたいので、先の西航と違って東航して関西に向かう場合は大島寄りにある東水道を夜間に通ったことがあります。ここは500トンくらいの内航船も利用しますので、それに対する注意も必要です。この東航の場合は航路に沿って走航して来島に向かうのに航路横断がないのが取り柄でしょう。
 転流時は本船が西か中のどちらへ行くのか見当がつきませんので、他船の動向に注意する必要があります。

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 今治海の駅 ここを1時間まえに出る

 来島海峡大橋 前方の船首12時方向の島が小島


         2016-11-4


 

  大畠瀬戸

 大畠大橋 第3と第4橋脚の間を通航


 大畠瀬戸を3回抜けましたので、書いています。 最初は柳井から広島に向けての航行で、橋に接近するにつれて1.5ノットまで減速してしまい、反航船もなく通過しましたが、どっこい潮波かと思っていた白波がだんだんと増え、前方よりの強風と伴っているのが判明しました。 しばらく真向いの風に立ち向かいましたが1ノット程度の航速では無理と断念し、反転して柳井に帰ることにしました。 今度は6ノットを超える速さで難なく橋の最狭部を通過です。 3回目は潮流のたるみを選んで航行しましたので、橋近くも4ノットを超える速さで通航しました、柳井-松山のフェリ-と橋付近で遭遇する恐れがあったので、事前に左舷対左舷の航法をとるように調整しました。音戸の瀬戸のような悪い見通しではないので、行き会い船がなければ音戸よりは容易でしょう。



狭水路での右側通行の原則を守り、橋付近での行き違いを回避して、大磯灯標付近には浅いところがあるので本土側を意識して航行すれば良いように思います。5トン以上のヨットには海上交通安全法による航法規定があります。灯標間のC線を挟んでの右側航行を守ることになります。ただしB線付近の浅瀬に注意することになります。


   2016-12-3

     大畠瀬戸 その2  貨物船と橋の衝突

     ヒヤリハットの大畠瀬戸
  

 


    小鳴門通峡


 鳴門海峡を通航する機会は今までに4-5回あり慣れてきたつもりである。 しかし、小鳴門は通ったことが無いので一度通ってみたいと思っていた。

 小豆島の坂手より小鳴門に向かう。 その入り口へは小鳴門新橋が遠くから良く見えて良い目標になる。 そこへは、入り口付近の定置網やトロールタイプの引き網の漁船の進路を避けながらの航海になる。 通峡時間は流速の大きくならない連れの時間を選べ場良い。 その時間は本当の鳴門海峡の通航時間と同じものになるであろう。

 今回の通航は川を航行するのと変わらなかった。 シングルハンドでは周囲を見張りながらのハンドでの舵取りで、オートを使うことも無かったので余裕が少なく楽しめ無かった。 狭い川であるのに余り通航を意識していない位置に網が設置してあり、それらの障害物が散見されるので、あまり気が抜けない。 地元の漁船は南北の片方へ行くのみなのであろう、通して全て通り抜ける発想がないので、このような抜けがたい状況になったのであろう。 

 小鳴門の最大の難関は下図の鳴門競艇場付近であろう。 小生はここを想定してこなかったので土壇場で悩んだ。それは小鳴門橋(23m)と撫養橋(23m)の下を抜ける時に、競艇場の近くを通るのか、それとも大毛島(淡路島方面)に向かうのかの直前での選択を迫られた。 狭く見える競艇上に接近して通航することにした(下図赤線の航路)。 正解であった。 後で詳しい人に聞くと反対側は浅いところがあり年に何艇かが乗り上げるのだそうです。 どうしてこの位置に競艇場を作ったのかとクレームしたくなる位置、小鳴門に1/3程突出して造られた位置にそれはある。 案外に近寄っても水深はあるのだが。

 また、後で聞いたのだが、小鳴門にはホンダワラが群生する場所があり注意を要するとのことである。 小生は今までに、春の時期にさんざんこの海草がペラに絡まり難儀をした。 秋の時期にはそれを目にすることも無く安心して航・好走していた。 撫養で1泊し翌朝に徳島へ向かう途中でホンダワラが詰まりオーバーヒートを起こしエンジントラブルになった。 これも通峡の注意事項の一つであろう。


  小鳴門海峡図



 故鳴門南入り口付近、 前方に新小鳴門橋が見える



 鳴門競艇場付近の航法



     2023-12-15